休日の朝は

近所を散歩している。疲れない程度に1時間くらい。行き先は決めない。何となくの方角だけ決めたら、あとはその場の流れに身を任せてぐんぐん歩く。こっちは日陰がないからあっちに曲がろうとか、猫がいそうな細道を見つけたら静かに進んでいくとか。好んで行きがちな道は、曲がっていてその先がどんな風景になっているのかすぐには見えない道。まっすぐな道は面白くない、展開が読めてしまうから。あとは似たような理由で、緩やかな勾配になっている道も好きだ。上った先がどんな景色なのか、上らないとわからないから。

住んでいる地域は勾配が多い。坂ってほどではないけど、まっすぐな地形の上に建てられた街じゃないんだろう。生まれ育った街が平坦な地形だったから、その差も面白い。

 

決めているのは、歩道橋を見つけたら上ること。運動不足になりがちな今、無理なく少しでも負荷をかけたくなるのである。今まで横断歩道がある場所で、わざわざ歩道橋をのぼることはまずなかった。上ってみると視界が変わって案外と気持ちの良いものだったりする。

 

自宅から少し歩くと立派なお宅が立ち並んでいて、建物好きとして興味をそそられる。壁の色、窓の形、色とりどりの草花、表札に彫られた苗字のフォント。猫の姿を見かけたらラッキーだ。

 

もう今の街に暮らして10年近くなるけれど、まだまだこんなにも通ったことのない道であふれていることに驚く。今まで旅先で知らない街を歩くのが好きだなんて思っていたけれど、わざわざ遠出しなくても自宅から半径5キロ圏内だけでも知らない場所ばかりで飽きずに楽しめる。

そのことに気づけて良かった。